昨日のこと。
ご近所にある国立では老舗の骨董店「T堂」さんへ用事があってお邪魔していました。
T堂さんは以前は小売もしていらっしゃいましたが、今はしていません。
お店は開いていても一般のお客様には売ってくれない不思議な骨董店です。
もちろん素敵な品物が沢山です。いつも伺う度に、天井から床まできょろきょろしてしまって、落ち着かない私。
そんな店内で素晴らしい骨董&アンティークの数々に囲まれて、社長Sさんは猫を撫でながらいつもニコニコとしていらっっしゃるのです。
「どう。景気は?」と社長。 「お陰さまで、まあまあです」と私。
「そうかぁ、売れてるんだぁ。売れちゃうと寂しいでしょ?」と社長。
そうなんです。骨董屋というこの商売。もちろん、好きでやっている訳ですから、仕入れも楽しい楽しい♪
しかし、仕入している中で「これはっ!」という自分の中での凄いお気に入りが、たまに見つかる訳です。
もちろん、どうしてもどうしてもどうしても手放したくないものは、抱きかかえて家に持って帰り、誰にも何も言われないうちに、こっそりと隠します。
でも、「どうしようこれ、すっごく素敵だけどなぁ、どうしようかなぁ・・・」と一人でぶつぶつ言っていると、
すかさず J がやってきて「そんなこと言ってたらきりが無いだろう」と。
そうなんです。分っているんです。私が自分で素敵だと思っているものは、お客様にとっても素敵な物。
それをいちいち自分ひとりで抱え込んでいたら、商売になりません。
悩みながら「これはきっとあのお客様に似合うだろうなぁ」と思い、店頭に飾ります。
・・・と言う訳で、今日も売れました。とっても美しいルーサイトのパーティバッグとゴブラン織りのバッグ。
I さん、気に入ってくださって、ありがとうございました。すごくお似合いでした。
私が自分で思い描いた通りに、そのお客様に似合って、そして気に入ってくださると、とても嬉しいです。
また頑張って素敵なものを探そう!という意欲に繋がります。
T堂さんが小売をしない訳は・・・そうなんです。好きな物に囲まれていたい=売りたくない、なんですね。